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JBL推奨バスレフ箱(130系ウーファー)に関する考察
2001.1.8






130系のウーファーの様な高能率ユニットは、超低域まで延ばすことが出来ない。
Qoの低いオーバーダンプのユニットはフロントロードホーン、バックロードホーンで用いる場合が、 最もその実力を発揮する。
バスレフで用いるには大きな容量のエンクロージャーが必要になる等、
一口に言われます。

フロントロードホーン、バックロードホーンエンクロージャーの製作はとても困難が伴いますが、 JBLには、かつて とても立派な箱が用意されていましたので、安心。 ところが、バスレフ箱は、用意されていません。これからしても、JBLが、 どういう目的でこれらのユニットを設計してるのかということの察しが付きます。

それでも、130系のメーカー推奨箱のデータはないものかと調べると、約140リットルの物と 約226リットルの物の二つの物が見つかりました。

そこで、これらに、2220A(=130A)のパラメーターを当てはめて、 計算してみました。

すると、以下の様な数値が出てきます。
130系に対するJBLの推奨箱のデータは2個



例1:
内寸法:H83.82cm×W45.72cm×D36.89cm=約139リットル
ダクト面積:193.548cm2(19.05cm×10.16cm)
ダクト=板厚19mm?(25mm)
  容量(リットル)  Qoc   foc(Hz) foc×0.7     γ
    139      0.52   60.0    42.0    1.63
ダクト面積193.5cm2=振動板面積の24%
dl:ダクト長(cm)  1.9  2.54(板厚) 
fd:共振周波数(Hz) 56.1  54.8
dr/foc         0.93  0.91
β          0.71  0.74





例2:
内寸法:H91.44cm×W60.96cm×D40.64cm=約226リットル
ダクト面積:619.354cm2(60.96cm×10.16cm)
ダクト=板厚19mm?(25mm)
  容量(リットル)  Qoc   foc(Hz) foc×0.7     γ
    226      0.45   52.4    36.65    1.00
ダクト面積619cm2=振動板面積の77%
dl:ダクト長(cm)  1.9   2.54(板厚)
fd:共振周波数(Hz) 60.8  59.9
dr/foc         1.16  1.14
β            0.37   0.38





これを見てみると、高能率型の2220Aといっても、γ値からみると、 特別巨大な箱が必要になるわけではなく、38cmクラスとしては、思いのほか  常識的な数値が出てきます。
色々なスピーカーの容量を推測し計算してみても、 ユニット自体が持つfo以下まで周波数帯域を延ばす様な設計をしたスピーカーシステムは、 意外と 少ないものです。20Hzに近いfoを持つユニットでもバスレフダクトの設定値は、 35Hz近辺になっているという物の方が多数です。
超低域への延びは、そのユニットが持つfoによって制限を 受けますので、2220Aの持つ37Hzという38cmウーファーとしては高めなfoを 見ていると超低域への挑戦はハナから諦めたくなってきますが、前記の様にfo以下どころか 、foまで延ばす設計も少ないのであれば、2220Aといえども、 foまで程度であればそれに見合った箱を作れそうです。

特に例2の箱容量の226リットルという数字は、γ=1になるように設定されたものであることに、 ほぼ間違いありません。γ=1の時のfocの70%にダクトの共振周波数を設定すれば、 無理なくfoまで低域を延ばせそうなのですが、ここでは、 なぜか振動板面積の77%に及ぶ巨大な開口部を設け、板厚だけのダクトとし、 その共振周波数を箱のfocの115%の設定にされています。
これは能率が101dBという130系の能率に見合った出力をダクトから得ようとしているともとれますが、 これでは、ダクト面積の巨大さに伴う大きな位相反転の出力で完全に55Hz辺りで 低域がカットされてしまうことが、予想されます。

どちらのエンクロージャーにおいてもダクト長は共に板厚となっています。
バッフルの板厚が何ミリなのかはデータにありませんが、 JBLに多く採用されている板厚が25.4mmか19mmですので、ここでは、それらで計算しています。
この板厚という物理的に最短のダクト長設定の意味ですが、同じダクト共振周波数に設定する場合、 ダクト長の長い物に比べて、最大の開口径が得られるからと考えて、まず間違いないでしょう。
言い替えると、高能率ユニットの音圧に見合ったダクト出力を得るためには、 出来るだけ開口径を大きくする必要があるので、その為にダクト長を短くしたのだろうとい うことなのですが、例2の場合は、いくらなんでも「やりすぎ」としか思えません。(^^;) というのは、箱のfocよりもダクトの共鳴周波数の方が、高いという設定になっているからです 。これでは、ダクト出力で低域の音圧を増強しようというバスレフのメリットがありません。 他に何か違った意味があるとすれば、後面解放箱の様に、 とっても音の抜けがいいであろうということです。



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