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JBL4550バスレフ部分を考察する
2001.7.31


4550、漆黒の巨大なフロントロードホーン。魅惑的な箱である。
写真で見ると無骨な印象であるが、実物を目の当たりにすると美しい感じを受けるのは、 単に、JBLに対する思い入れであろうか。。



















この箱は、あまりにも大きく、フロントロード形態でもあるので、箱を自作する時にも、 検討機種の対象外であった。超低音を出したいという目的で眺めてみると、 フロントロードは、中低域の音圧を上げるのが目的で、超低域は無理ではないかという思いもあった。 それでもできれば、実際に音を聴いてみたかったが、そういう機会が持てるとも思えなかった。

持つべきものは、友である。
JBLボックスを次から次へと聴ける機会を持てたのは、 このHPを常々訪問してくれている方にはお馴染みの、あのお方のおかげです。(^-^@) こんないい思いをしていいのだろうか。。

4550を実際に聴いてみると、ぼくの目指している音の方向性である。
特徴的なのは、その音の浸透力だ。
音が空間を伝って通り抜けていき、その体積を軽々と満たす感じ。。
さらに想像と違っていたのは、最低音が十分のびていることだ。
穿った言い方だが、自分の作ったスピーカー並みに出ていると感じた。 大きなバスレフダクトに耳を近付けると、聴き慣れた音が聞こえる。 よく考えれば、この4550は、バスレフ箱と考えてみても、十分な容量がある。

幅1520mm、高さ915mm、奥行き820mmここから、フロントロード部をざっと引いても670リットル! 内部補強桟は、割と少なめな感じなので実質650リットル近くあるかもしれない。 十分な補強が施されていたとしても、620リットルはクリアしているだろう。 理想的な数字だ。。ぼくも出来れば600リットルをクリアしたかった。 だからあの時、このことを知っていたらもう少し無理をしていたかもしれない。。 ダクトサイズは、17.25×13.65cm×4個と大きめである。 これを振動板面積と比べると、58.59%。 密閉が基本で、左右のバッフルを外せばバスレフになる初期タイプの4550の場合は、 両側を開くと開き過ぎ、片側だけだと開き足りないというデータを持っているが、 この最終型の4550はその中間であるので、ダブルーファーとフロントロードによる能率アップに見合った チューニングに違いない。。

容量 620L 650L
foc 48.68Hz 48.2Hz
γ 0.73 0.7
dl 1.9cm 1.9cm 5cm 10cm 13cm
dr 941.94cu
=振動板面積の58.59%
β 0.59 0.59 0.66 0.77 0.84
fd 41.01Hz 40.05Hz 38Hz 35.19Hz 33.78Hz
focに対して 84.3% 83.1% 79% 73% 70%
foに対して 110.8% 108.2% 102% 95.1% 91%

この表の右側には、ダクト長を変えた場合の計算値を付け加えています。
ぼくならば、取りあえず無理なく最低周波数を狙えるダクト長13cmを試してみるところですが、 板厚のみの設定になっています。しかし、箱の内部から見れば、半分に割った逆ホーンの先にダクト穴が 付いているので、板厚よりも長めになる効果が出て、必要ないのかもしれません。 もう一つ、フロントロードの音圧に見合うバスレフ出力を得るためもあるかと想像しています。
別項にも書いたように、初期のJBLのバスレフチューニングは大胆です。
前に検討したJBL推奨130系バスレフ箱と比べてみると、

容量 650L 226L 139L
foc 48.2Hz 52.4Hz 60Hz
γ 0.7 1 1.63
dl 1.9cm 1.9cm 1.9cm
dr 941.94cu 619cu 193.5cu
=振動板面積の58.59% =振動板面積の77% =振動板面積の24%
β 0.59 0.37 0.71
fd 40.05Hz 60.8Hz 56.1Hz
focに対して 83.1% 116% 93%
foに対して 108.2% 164.3% 151.6%


ダクト面積に関していえば、振動板面積の24%〜77%と、 ずいぶんとダイナミックに設定値を変えていることがわかります。
共通しているのは、ダクトチューニング値をバスレフで狙えると言われるfocの70%まで持っていかず、 どれも再生周波数を欲張っていないということです。 この中では、意外にも、、4550の設定が一番真っ当なバスレフの設定と言えますが、 やはりダクト面積は、約58%と、一般よりもかなり大きめな設定です。
ダクト長が、全て板厚であるという事も共通しています。
自作箱で、試したことを考え合わせても、 明確な理由は分かりませんが、、板厚のまま、あるいは板厚に近い設定の方が、具合がいいのです。
ダクト長が長くなると、2220の様な高能率型のユニットは、バスレフの癖が出やすい様です。


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