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個体差のあるユニットを一つの箱に押し込んでいいわけがない。個体差による反応のずれが悪影響を及ぼす。それでも もし、入れるなら2つのウーファの間を仕切るほうがいい。
こういう意見は、もっともに聞こえますが、個体差について、よく考えれば、ステレオで左右2個のスピーカーを使うときにも、同じことがいえるのです。1ペアで買ってきたスピーカーは同じと思って聞いているだけで、実は特性はまったく同じとはいえません。測ってみると、ユニットに それぞれ個体差があるように、ユニットを使用しているスピーカーにも個体差が存在します。 また、たとえ同じ箱に2つのユニットを入れることだけが悪い、と言ってるのだとしても、アンプに使うマッチドペアのトランジスタなどとは違う条件で使うのだと理解すれば、かえって、メリットもあります。と言うのは、それぞれその特性で頑固に動くそれらと違い、スピーカーユニットに関してはもともと、箱の大小、ポートサイズなどの影響を簡単に受けてしまう性格のものです。また、まったく違う種類のユニットを使うわけではありませんので、微妙な個体差は同じ箱の中に入れることにより、それぞれの影響で、平均化されると考えられないでしょうか。さらに、ステレオにおいては、個体差そのままの1発より、平均化された2発の方が、左右の個体差までも平均化されているんじゃあなかろうか。。。こういう理由で、仕切の無い箱に2つのウーファを平気で入れているのですが、仕切を入れない理由がもう一つあります。
仕切を入れるというのは、2つのウーファを別々の箱に入れる場合と相似です。15インチを1発入れた最初の箱は約85リットルでした。ダブルに移行するにあたり、箱を並べたり、積み上げたりと実験していました。その結果はさほど、思わしくありません。濁ったような感じがつきまとうのです。次に見つけた箱は約170リットル。最初の箱のちょうど2倍なので入手を迷いました。シングル一発向きのこんなサイズの箱に2発いれても、理屈の上では同じ結果が待っていそうな感じです。結局、思いきって手に入れたのですが、その理由は85リットルのそれぞれの箱の脇に裸のユニットをパラッて聴いた結果がよかったからです。何か違った結果が待っているんじゃなかろうか?これに2発入れたり、1発にしてみたりと様々やってみました。2発入れた場合、1発あたり85リットルの計算になるので最初の箱の箱と同等になるはずですが、もっと、のびのびとしています。 そこで、ポート面積はウーファー当り同じ30%ととして、500リットルの箱に2つウーファーを入れた場合と、それを2つに分けて、250リットルの箱に1つのウーファを入れた場合のポート長と共鳴周波数の関係ををグラフにしてみました。上図です。ここで、板厚3cmと仮定して、ポート穴だけを開けた時の、共鳴周波数を見てみますと、500リットルの箱に2つウーファーを入れた場合約37Hz、250リットルの箱に1つのウーファを入れた場合約43Hzとなり、500リットルの箱に2つウーファーを入れた場合のほうが、低い共鳴周波数が得られます。これが、250リットル箱に1つのウーファーを入れたものを二つ重ねても500リットル箱のダブルウーファーと同じに聞こえない理由です。
しかし、さすがに、170リットルに2発入れると、1発だけ入れたようにはいきませんが、少なく見積もっても1発あたり、120リットルくらいの感じはします。(JBLの4570箱を聴いたことがある)170リットルの容量を互いに共用して50%、50%ではなく、70%、70%くらいずつ使っているようだとそのとき以来思っています。そこで、500リットルの70%の容量である350リットルの箱に1つウーファーを入れた場合はどうなっているか計算してグラフに足してみました。右図です。なかなか、興味深いラインです。500リットルに箱2つのラインは、350リットル箱に1つのライン、板厚3cmでの共鳴周波数の約36Hzから32Hz当りまで寄り添いその後、20Hzに向かって、急速に、250リットル箱のラインに近づいて行きます。これらから、実際にチューニングをする周波数帯域では、350リットル箱に近いことが分かります。聴いた感じというのも、満更捨てたものでもありません。以上のことから、仕切を入れずに使うのは事実上の容量アップに繋がっていると考えているからでもあります。
とにかく、大きくなるので、補強が難しい。やわな箱に2つ入れるより、しっかりした箱に1つのほうが良い。
やはりごもっとも。180リットルくらいまでのものは箱として考えられますが、それ以上となると、ずいぶん様子が違ってきます。箱を補強桟で補強すると考えるよりは、補強柱で組上げるという発想で考えることとしました。イメージはツーバイフォーと柱組みですが、詳細は別稿で語りたいと思います。