|
| ||
いわゆる、和風の仕事と思われている仕事を子供の頃から見続けていますと、 世間の人の言う和風と、自分の思う和風とは、どうやら少し「ずれ」があるらしい、、ということには、 薄々気付いていました。
たとえ家の中に洋室が、一つ二つあっても、和風の家であることに変わり無い。 そう言っても、大抵の人は異論が無いと思いますが、たとえば、畳が無く、 床が全てフローリングであっても、「これも和風だ。」と言ったら、どうでしょうか。。
現代和風と言われる様式が、今はありますので、そういう和風もあると言ってくれる人も いてくれるかと思います。さらに、そういう人でも、昔の家では実は畳の部屋が少なかったと言ったら 意外に感じるのではないでしょうか?
ここで、「そう言われれば。。」と思い当たる方は、実際に100年クラスの家にお住みの方か (羨ましいです)、かなり高齢の方か、ぼくと同様なマニアックな方とお見受けします。(笑)かつて畳の部屋は位の高い部屋であって、床が板の部屋はいくつも存在しましたし、 板戸の数が襖よりも多い家は、これも沢山存在しました。100年程前の家では、 座敷の押入と納戸の押入だけが、襖で、他の仕切は全て板戸あるいは、 座敷と納戸の間が襖という構造のものは結構多いのです。玄関を入って左手の上がりかまちを 見れば板の間。その部屋とその奥の座敷の間は確実に、板戸の場合が多いのです。 下地からしっかりと仕立てられた襖は高価な物ですが、大きな無垢板を使った板戸も高価な物で あったことでしょう。
近年になって急激に畳、襖の割合が増えたと考えてもおかしくありません。一般に思われている和風は昔からの和風ではなく、どうやら、50年以内の近代和風?の様子です。 ぼくの思っている和風は、それも含んだもっと長い目で見た和風の様で、 この辺に感覚にズレの原因があったわけです。
本物の西洋の建物は、意外と窓が小さいものです。 これは箱の形態をとる構造上、あまり大きな窓を造ると、 強度が不足するという理由からきている場合が多いのです。
それに引き替え、柱造りの日本の建物は、壁を造る前の状態を思い浮かべていただけば 分かるように、元々開いている開口部を壁で塞いで強度を増していく理由で、 開いている開口部自体は案外広いのです。「掃きだし」といわれる床面から引き続いて 外部に繋がる開口部を持っているのも特徴の一つです。
こういう考えで見ていくと、たとえ、 洋風のマンションと銘打たれていたとしても、大きな開口部を備えたサッシが入っていたら、 これはまさしく「掃きだし」であるので、和風といえる。。ならば、和風とは?そして洋風とは?
結局、
「玄関あるいは土間で、靴を脱いで家の中に入る構造であれば、和風以外の何物でもない。」
こういうことにして、長年の違和感に決着を付けることに致しました。