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ポルシェ 1999.7.13



初めて、ポルシェに乗ったのは、1998.1月のこと。20分程度の回送だったが、その操作感に魅せられ、車を替える時と重なったため、相当悩んだ。しかし、悩んでも先立つ物は湧いてこない。今回の予算では、到底望むべくもなく諦めた。普通の感覚の持ち主なら、諦めた方が賢い選択だ。911カレラ2、白のカブリオレ 964ボディのティプトロ 平成4年式(1992)。

2月の半ばにもう一度乗る機会を得た。ハンドルの振れ、サスペンションからの異音が気になるというオーナーからの依頼をチェックしがてら、以来を受けた修理工場から、専門修理工場へ回送するのが、今回のアルバイト?だ。(一介の表具師がなぜそんなことを頼まれるのかという詮索はよしていただきたい。)専門修理工場の診断を受け、戻るまで、不具合はないか確かめながらの往復約1時間程度。ドライブした後の心地よい疲れ、バイクをおりて以来、久しぶりに味わう感じだ。専門修理工場も私も?オーナーの言うような問題は感じられず、これで終了のはずであった。「持ち主は何かを気にしてる様子だし、すぐ返すのもなんだから。明日まで様子を見てくれ。」という夢のような提案を二つ返事で引き受け、翌日まで乗り続けることに。

今度は余裕をもって乗れる。サウンド、アクセルオンしたときの行き方、ハンドリングの癖まで感覚に合う。今までに乗ったどの車とも違う。アクセルオンでコーナーを回ると(リアにパワーをかけると)アンダーステアに。やりはしないが、ここでオーバーパワーをかければ、一気にリアが流れそう。実際にかけられるだけのパワーを持っている。アクセルオフで行くと、インに切れ込みたがる。この感じはバイクに似ている。どちらにしても、ねばる足回りのおかげでロールしにくいので、いい感じ。かかったGの外側が沈むものが車だと思っていたので、ノンGのバイクのように、きれいにコーナーをクリアできたという実感が湧く。後ろに大きく重量バランスがずれているこの車は適切なブレーキング時に見事に重量バランスが前後50%50%になるのを体感できる。これはRR車独特なもので、それは、このぎりぎりの小さいボディサイズにも由来しているようだ。バイクのブレーキング時はステップに踏ん張り、自分の体を後ろにずらしてタイヤへの重量バランスを変化させるわけだが、車ではそれはできない。ブレーキングの時前につんのめざるを得ない車にずっと違和感を感じていたのだが。こんな車もあったのか!と感激。体感では前後がとても短く感じ(実際に、ホイールベースは幅との割合をみれば他車より短い)それにひきかえ幅は広く感じるのだが内輪差を意識させないので、自分の体でコーナーを抜ける様な一体感を得られる。とにかく楽しい!

高速でのフル加速時のハンドリングは、とんでもなく接地感のないふわふわしたもので極端ないいかたをするとバイクのウイリーのような状態。ここではバイクの様にまえに体重をかけて押さえるわけにいかず、なすがまま。そのまま車線変更をする必要があったら、少しアクセルを抜き、フロントに車重を与えるのがお利口さんだ。??0〜?0?までの安定感は、グランツにも劣る。私にとってはいい意味でプレッシャーがある。むやみなハンドリングは危険だ。とりあえず、フロントにきっちりと車重をかけた乗り方が基本か。3000rpmで120kmと回転数は高いが、音はハギレているので回していない様に感じる。野太いトルクでこのままレッドゾーンの6800rpmまで確実に回ると実感。とにかく、速度にかかわらず、そんなことを感じられるのも、バイク以来。3.6リッター、250馬力これで良いという気にさせる。ゆっくり流しても楽しい。スポーツカーの本当の意味を知った。

あくまでも私にとっての良さなので読んでいる人は気をつけてほしい。逆にみれば癖の塊の様な車でもある。簡単な車ではないし、思われているほど速い車ではない。GTRの方が確実に速い。メンテに関しては、20年前の国産車の感覚だ。現在の国産車と同じ様に考えてはいけない。このときも、結果的には、右オイルラインにオイルもれを見つけた。ずいぶん前から漏れていたようで右側フロントタイヤの前方!が特にひどい。室内灯切れ、センターコンソールランプ切れ等、どのトラブルもポルシェではあたりまえ。この2回の回送の間に、ダイナモ交換。修理費がとんでもない額。とてつもなく手のかかる車のようだが。。。

その後、間を置かず、オイル交換の仕方。ジャッキのかけ位置など時々、質問を受け、もはや、他人の車とも思えない気分で、その持ち主が手放す時には考えねばとも思っていた。その後、半年以上連絡がなく、ノントラブルで、幸せな日々を送っている様子であったが。。。





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