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JBLとの出会い 1999.5.5



 『質感』ステレオ装置から得られなかった物。そんなことを意識できる ようになったのは、つい最近の事だ。ずっと、クラッシックもジャズも退屈で つまらないと思っていた。しかし、生ピアノだと、つたない演奏を聞かされて も、なぜか“そわそわ”する。ギターしかり、三味線でさえも…

初めてクラッシックのコンサートへ付き合いで行った時、本当のオーケストラの音の 良さに驚いた。最初はコントラバス、フンッという音の立ち上がりだけで 毛穴が逆立った。こんな音聞いたことない。聞いたことないはずだ。 初めて行ったのだから。束になったバイオリンの厚みのあるふくよかな音。 ティンパニーの鋭く立ち上がった後に漂う低音。そんな魅力的な音で奏で られる旋律。生ならクラッシックも楽しめる。なんとか市民オーケストラで さえも。とても失礼な言い方だが、正直、新発見に感謝したものだ。 楽しいことが一つ増えたと。しかし、オーディオにはまだ手を染めない。 ウィーンフィルをCDで聞いても、気の抜けたサイダーの様。なんとか市民 オーケストラに負ける。 ステレオ装置からは、こんなゾクゾクするような音など 出ないのだから。

 20代も後半になってからの事だが、大須の第1アメ横の1階フロアを ぶらついていた。ふと気にかかるピアノの音を耳にしたので、近づくと、 今まで見たこともないスピーカがあった。大きなウーファが箱に入っていて、 その上に小さい、といっても普通のスピーカくらいの大きさの箱が乗せて あり30cmくらいのスピーカとツイータが取り付けられている。さらに、 その上にラッパの様なものが…。4wayなのはわかる。それにしても、 手造り候だ。低音はさほどでもないが、この高音、なんとなくリアルだ。 耳を近づけると、どうやら、このラッパが原因らしい。近くにいた店員さんに聞いて見ると、それは ドライバーにホーンを取り付けた物。J.B.L.というメーカーのユニットを 組み合わせたスピーカーシステムで、値段は120万!それぞれのユニットを 別々のアンプでならすマルチアンプとかで、アンプも揃えると少なくとも 200万!とか。無茶な話。でも、このドライバーとホーンとやらだけなら… 20万!グッと息を呑んで帰るしかない。しかし、あの音。J.B.L.。ドライバー。 今思うとその日から、考え事をする日々が始まった。

 それから、半年程たったある夜、ボーリングの帰り道、結構大きなスピーカが大ゴミに 捨ててあるのに出会い、迷わず車に積んで持ち帰った。調べてみると、 テクニクスSB7000(テクニクスセブン)という過去の名器らしい。それを そのまま使う気はさらさらなく、2週間後には、テクニクスの中高音ユニットの 変わりに、1970年代製だからほとんど骨董品だが、紛れもないJ.B.L. のLE175ドライバーと2305ホーンがめでたく乗っかっていた。

それから1〜2年の間に、175をベースにツィーターJ.B.L.2402をプラス、 箱の穴を大きくし、ウーファーに2220と元名器は無残に変り果てたが、 音は好みに近いので結構満足。今思うと、見かけ同様、音もとんでもないもの だったかもしれない。でもまだ決して本気ではない。




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