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名曲喫茶スギウラのマスター 1999.7.1



名曲喫茶スギウラのマスターはシャイな人だ。僕もおとなしい人なので、何度も来てはいるが、一度も話しかけたことがない。しかし、その日は、かかっているCDが何なのか、どうしても知りたくて、短い時間にさんざん迷った。

”マスターはコーヒーを持ってくる時にしか姿を現わさないから、聞くならその時しかない。。。”
”同じCDがほしい。でも、ここのスピーカーは特に違うからなぁ。まったく違って聞えたらヤダナ。。。”
2階へ上がってくる足音。
”なんで、緊張するんだろ?”
おぉ!来てしまった。”聞かねば後悔する!”
「今かかっている曲は何ですか?」声が出た。
「この曲ですか。。」気のない顔。「ベートーベンの皇帝ですよ。」と消えゆる声。
”皇帝。。。”私でも聞いた事のある曲名だから、相当有名な曲に違いない。 チト ハズカシイ。
マスター 行こうとする。「あのーぉ、何の。。。」
「アシュケナージのピアノのー。」
聞き方が悪かった。その時、レーベルという言葉が思いつかなかった。 行ってしまう!
「ロンドンとかフィリップスとか。」
「ロンドンです。。。」.....行っちゃった。
なんだか迷惑そうで・・・軽い罪悪感と、聞けた事の満足感とを懐きながら、その後ここでしかきけない音でクラッシックを楽しんだ。

帰りにさっそくCDを手に入れ、真っ直ぐに社宅へ戻り、そそと、CDプレーヤーにセット。”ロンドンレーベルのCDはスタート出来ないのに当たったことがあったなぁ。”と不吉な予感が頭をよぎったが。。。「プレイ!」「・・・・・」 ダメ・・・何度やっても、ダメ・・・「不調だ!このプレーヤーやっぱり。。。」 ということで、聞けたのは、新たにCDプレーヤーを購入した 11ヶ月後だった。




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