| |||
大箱が出来てから、1年以上経過した1999.1月。年末からひいていた かぜも、そろそろぬけるかという時に、急にやる気が出て、ウッドホーンを固定する作業をした。
ウッドホーンの位置を前後させ、ダクトの必要性とバスレフにする場合の大体のポート径を探り続け、密閉よりもバスレフのほうが良いと結論を出すのに、1年かかった勘定だ。ホーンを固定すると、バッフルに穴をあけることになり、いよいよヘマがゆるされない。勇気もわかず、決断も出来ない、気力も出ない状態が続いていた。これならこれでよいか、という音が出ていたのも確かだ。調整と実験を続けながら、じっと、確かな感じが得られるのを待っていた。
10パイ4個では小さすぎるだろうという予想はたっていた。11パイ相当のところが、良い加減で、13パイが限度という気になっていた。ホーンを固定して、密閉のまま音出し。固定していない時よりも、ずっと具合がいい。測定すると25ヘルツまでフラット、グライコで20ヘルツを3から5デシベル程度持ち上げるとほぼフラット。これでまた立ち止まるかと思ったが、2、3日聴くうちに、実験中に感じた中低域のつまり感が多少感じられ、やはり、穴が必要であると、すぐに決心。直径10センチ、左右合わせて8個の穴を慎重に開けた。ダクト長15センチに板厚3センチで計18センチにし、聴く。チューニング周波数24ヘルツ。少し抜けは良い感じだが、密閉の延長線上にある音。容積から言って小さすぎる穴は、やはり、大きな抵抗になっていると、納得。もう一つ、見た目にも穴が小さくて許せない。ダクト無しを試す気もなくなり、大きくすることにする。ここまできて、初めて知ったのだが、市販の紙ダクトの規格サイズは内径10センチの上は12.5センチ、その上は15センチしかない。12.5センチはおあつらい向きなので、すぐ試すことにする。
密閉、10パイのダクトのどちらにも、2220Aを取り付けてみたが、良い感じは全くない。もともと2220Aに行きたがっている自分が居る。1発ならば、2220をとる。そこそこの箱に2発なら1601。大きな箱に2発なら、きっと。。。と思い、大きな箱をつくったので、ガッカリ。なぜ、ベイシーが、2220で、あれだけの音が出るのか、あらためて不思議に感じた。さらに倍以上の容積でもあるんじゃないか?と思わされる音。。見た目には同程度の大きさの箱になっているのに。壁か台に穴でもあいていて、実はもっと大きな内容積があるのでは、、と半分本気で思ってしまう。
さて、12.5パイにするにあたり、さらに、慎重に、穴の位置を1センチほどずらし、見目を調整する。ダクト長、計20センチ28ヘルツとし、聴く。10センチの時より、20ヘルツは、測定するとチと落ちる様だが、ずっと良い。ここでも2220をつけてみるが、超低域(30ヘルツ以下)が空振る感じでやっぱり、良くない。1601では、このままでも、ベストかと思えるが、ここまで来ると、もう少し短いダクト長もためしてみたい。さっそく、紙パイプを買い足し、15センチもためすが、さして変化ない。気持ち、気合いが抜けている感じ。長い方のが良さそうなので、元に戻そうとする途中、片側を板厚のみの、ダクトで、2220を、さしたる期待もなく取り付けた。
今までさんざん裏切られていたので、音を出して驚いた。良い。。。なんともいい。。。なんだ?これは。。。1601の過去最高だったはず音が、一気に色褪せる。やせぎすに聞こえる。グライコなしでは差が歴然としている。シングルウーファーをダブルにした時くらいの、いや、それ以上の差が現われる。2220からはなかなか出なかった低音が出たのも原因だが、もともと良かった200から500ヘルツくらいが、抜群にいい。グライコを使い1601を2220のカーブにし、似通った音にして、様々なものを聴いてみると、基音のタイミングがピタリと合っている様な気持ちの良さだ。ドラムの音など、ドラムセットが共鳴している音まで、聴こえる。まるで、別物の鳴り方だ。何年ぶりかの興奮を覚えた。これがベイシーで聴いた感じ。。良さだ。。と、思いたがる自分をおさえて、聴き続ける。
この話を聞いて、 I がきた。昨年、ベイシーまでの900キロを10時間かけて、一緒にいった兄弟の様な奴。信頼できる 耳 の 持ち主だ。分かりやすいように、いろいろテストして聴かせる。最後に、ベイシーに同行した時に聴いた、マイルスデービスのトランペット。「ベイシーの音だ。」と、 I がつぶやく。そう想いながら、「でも、違うかもしれない。」と気持ちを抑えて聴いていた私も、つられて、うなずいてしまった。2220しかもってないものをやっと出した。
そういう錯覚に本人は陥りやすい。が、本人以外で一人でも居てくれると、心強い。
2220Aがもう1ペアほしい。