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「大音量で鳴らせば、スピーカーの音は良く聞こえる」というのは、 普段、抑えた音量でしか聞かない人の場合には、「さもありなん。。」と思えるのだろうが、 ある程度、大音量を聞き慣れれば、やっぱり 大音量にした方が、 音の欠点が分かりやすい。。
といっても、いつも大音量を出せる部屋を持つ恵まれた人は滅多にいないと思いますが。。
かく言う、ぼくも恵まれた境遇とは言えませんので、普段は当然、適音?で聴いている。それでも、時を選んで短い時間だけ、すっとボリュームを上げてみる。。
最近ではそれなりにいい音を出す様になったラジカセやテレビといっても、ボリュームを上げれば すぐに欠点を露呈し、やはり、やかましくて聴いていられない。。やかましいのは、これらの場合 大抵高音の部分に理由がある様で、音量を上げれば上げるほど、高音部分が豪快に出てきて気持ち悪い。 大きな音量で、やかましく感じ無い音に高音のレベルを抑えると、今度は、小音量にした時に、 大抵の場合、高音が物足りない。
現在のスピーカーには、その周波数特性の山谷が激しい極端に癖のある物の方が、少ない と思うのだが、実際に、周波数特性を見比べても、あくまで微妙な差でしかない。 スピーカーは、機械(測定)的には、高音から低音までのレベルはあくまで一直線に平坦で、 入力信号が入ってきたら、それに応じて素直に上下くれる物。。
それが理想、あるいは前提、なのである。
「それならば、同じ様な音になっていくのでは?」ところが、しかし、
低音高音のレベル、あるいは周波数特性が全く同じであっても、同じ音には決してならないであろうと いうことは、オーディオをやっている人ならとっくに気が付いている事実である。 使っているユニットの持つ音の質の様なものは、周波数特性で現れない場合もあるし、特性上の 「癖」があったとして、たとえ、それをグライコ等で無理矢理平坦にしてみても、 違うユニットの様な音には、決して変身したりしない。。 こう考えてくると、なかなか厄介な問題である。一枚のCDの周波数特性をグライコやチャンネルディバイダーのレベル調整などでいじってしまえば、 「好みの音」に変えて、“天国の気分”を味わう事なども可能であるが、 そのまま、他のCDをかけたりしたら、一気に地獄に叩き落とされることになる。 チャンネルディバイダーの調整と同様に、オーディオにおいては、 グライコの設定も、何を聴いても動かす必要の無い ニュートラルなバランスを目指し“決まれば”一定不変になる位置を探るものなのだ。
クラッシク音楽の再生の難しさ。。
それは、曲の中にピアニシモが存在するからなのだろう。。静寂との境目。。
聞き取れるか、聞き取れないか、ギリギリのところから始まる“ピアニシモ”に焦点(聴点?)を合せてみると、 その難しさが良く分かる。
小さな音でも、魅力的な音が出ているか。 そして、そのピアニシモのボリュームの位置のままでフォルテが気持ち良く、十分に鳴るのか。。
あるいは“ピアニシモ”が魅力的な音になるボリュームの位置のままで、 フォルテが、やかましくならないか。。 静寂からの出発。。