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再会 2000.5.6



春になり、「音の視界」の「原体験」に登場しているO君が、 三重県松阪市から、高蔵寺にやって来た。ほぼ15年ぶり?の再会である。

今年、ふと思い付いて、久しぶりに彼の実家宛てに、年賀状を出してみた。 現在は結婚し、別のところに居を構えていた彼は、2月に入ってからこの年賀状に気づいた。 そして、HPを覗き、ぼくの創ったスピーカーに興味を持ってくれたようだった。

O君は、うれしいことに現在でも現役の音楽ファンで、 20年前に買った真空管アンプは今も健在だった。 一つの物を20年間、満足して使用し続けられれば、間違いなく、お得な買い物だ。 今のシステムは、その20年前に手に入れたリークの真空管アンプのプリアンプから、 ファイナルというメーカーの新しい真空管パワーアンプに繋ぎ、 エレクトロボイスのフロア型スピーカーで聴いているとのこと。 LPを1500枚程所有しているという彼は、本来、生っ粋の アナログマニアなのだが、今回、はお気に入りのCDをたくさん抱えてやってきた。

というわけで、その日はオーディオ三昧となった。

到着すると、 さっそく、例のウエスタンエレクトリックの棲む家にお邪魔した。
片チャンネル46cmウーファー×2を巨大な平面バッフルに据え、 15Aホーンをスコーカーに、さらにツィーターをプラス、、という強烈な構成であるにもかかわらず、 見事に調整された3ウェイのステレオ装置で、2時間近く、 “超オーディオ体験”をしながらの マニアックなお話。。
「真空管のアンプでも、真空管アンプ独特な、、みたいな音のする奴は駄目だよ。 石のアンプの様に鳴らないきゃ(笑)」 「君が昔のレコードの音が良く聞こえると感じるのは、 1万6千ヘルツ以上の音が入ってないのが理由なんだよ。きっと。 幅広い周波数帯域まで、レコード盤にカッティングできるようになったのは、 4チャンネル録音が開発されてからでね。 それ以前は、1万6千ヘルツ以上の音はカッティング出来なかった。 だから、録音自体は昔のレコードより新しいレコードの方がいいんだよ。 いい機械というのは、レコードに刻まれた音を包み隠さず、出してくれる物のことだ。」とA氏。

その話の後で、自分の音をしっかりと見据えている彼は、 新たに様々な疑問も湧いたようだった。
「録音技術自体は、ずっと以前から、1万6千ヘルツ以上超えて録音できていたのか? この事に、カッティング技術だけがついていかなかっただけなのか?」
「最近のプレスのレコードを買った方が音がいいということなのか?」
しかし、本当に 「周波数帯域が広ければ、広いほど、人間の耳には心地よい音として聞こえるのだろうか。。」 新しい技術が良いのなら、 「デジタル録音のアナログ盤を買って聞いたら、それが最新技術だから、 いい感じに聞こえるという考えも成り立つのではないか。。」とO君。
どちらも、真空管のアンプを使いレコードを主体に聴く人たちである。 CDしか持たないぼくには、立ち入る隙が無い。。 というより、これでもどーも、ずっとオオマカな感覚なのだ。きっと。。

家に戻り、遅い昼食を済ませると、 今度は、ぼくのスピーカーシステムをお披露目することに。。 「ウェスタンサウンドの後では、物足りないか。」と心配しながら、そっと お気に入りのビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビー」をかけた。 「うーむ」と言いながら聴いていたO君は、しばらくして 「ウエスタンの音とそんなに違わないんじゃないか。。」と驚いた様に笑いながら言った。 「基本的には、似ているんだけど、あのウエスタンには、 これの良いところを、もっと良くした様な部分があるんだよ。 そこがあの15Aホーン独特なとこなんだけど。。」とぼく。そこで、 「あえて、違いを言うとすると。。」と彼が続けた言葉は、ぼくの思っていることであった。 幸か不幸か。。違いの分かる耳の持ち主だ。ご愁傷様。。

それから後はお気楽に、引き続き3時間近く、 「安らぐばかりが、、オーディオではない!」とばかりに、 「ドン!パシッ!ズッシ〜〜ンッ!」と、 いつもより、ちょっとだけ、、大きめな音量で、次から次ぎへと散々あれこれ聴きまくった。 その日は、まさに一日中“体育会系オーディオ”。。頭がクラクラしながらも、心地よい疲れが。。

「はぁ〜疲れたぁ」とこちらは、その後、横になれば良いが、、 O君は、帰途、2時間半程の運転。たいへんだったろうなぁ。。




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