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世紀末という大きな節目となる年の末の月に、ぼくにとって一つのいい出会いがあった。
メールのやり取りが楽しく、オーディオマニア以外の人には意味不明な言葉が続くマニアックな 会話を楽しみ始めてすぐ、ぼくは、その人の「音」を聴きたくなった。
その旨を伝えると、快くOKの返事をいただいた。
それをいいことに、あつかましくも、、時を置かずにすぐ、お宅におじゃました。家を建てる時に、オーディオシステムを中心に考えたのであろう。。
洋風の家という曖昧さのない洋館と呼ぶにふさわしいその建物の居間は、 まさにその家の中心に位置するのだが、そこにスピーカーシステムが据えられていた。
アンプ専用の小部屋が横にあり、その館の電源ブレーカーも兼ねた業務用の巨大な集中ブレーカーが、 しつらえられている。
スピーカーの対面には階段があり、その手前の方までも吹き抜けの構造に造られている。
それを見て、低音の抜けの事を考えた造りにしてあるのではと思ったのだが、
「そこまで深くは、考えなかったですよ。単に部屋の容積を増やしたかったので。。」
とさらりと言う(^-^;)。そこを通る度に、何となく見上げてしまうのだが、、 視線の先には、ゆっくりと天井ファンが回っていた。
もう「おのぼりさん」と化したぼくは、テーブルやランプなどの丁度品を見ても味のある選択だと 感心していてもことごとく「適当ですよ。」と言うのだが、本当に適当にそれらを選んだとすれば、 より恐るべき眼力だ。どちらにしても、、
「この人、、デキル。。」精神的な余裕とおおらかさを感じる館の主は、とっても気の許せる人だったので、 ぼくの持参したCD中心の試聴という様な形になってしまった。
「お任せ」で、聴かせてもらうことも好きなので、そのことを少し残念にも思った。
しかし、そのおかげで、とても「音」が掴みやすく、短い時間でシステムの音の感触を味わえた。この人の「音」を聴きたくなった最大の理由は、実はこの 4530というJBL製のバックロードホーンエンクロジャーを使っていると聞いたからだ。 メールのやり取りの最中「そういえば!」と思い当たったのが、 「JBLのバックロードは、幾度か見たことはあるのだが、肝心の音を聞いたことがない。。」 という意外な事実。。。
気付かずにいた自分に呆れたのも束の間、そう気が付いた途端に、 「バックロードホーンの音を聴きたい。」という気持ちが高まったわけである。バックロードの音の傾向は何となく掴んでいるつもりであったが、
実際に聴いてみると、 これが、想像以上にいい。。
自分と同じウーファーユニットが出している音であるのを知れば、より一層いい。。
勢いと切れの良さがあるのはこのユニットの持ち味であるが、ちゃんと!厚みのある音が出ている。
この厚みを出すのに 散々苦労してきたのだが、、
「出てますこれ。。」
ぽんっ!と置いてこういう音が出るわけがない、色々調整したのだろうと思ったのだが、 「ぽんっ!と置いただけですよ。」と言う。(^_^;)JBLというメーカーの製品は侮れない。特にこの時代の物は。。
この音を知っていたら、なにも考えずこれを手にしていたかもしれないと、 こんなことをあれこれ想像してしまうのがこの手の事をやっている人の性なのだが。。
4530から吐き出されるサウンドを聞きながら、実は 焦燥感にかられていた。
その理由は、自分のスピーカーにかいまみられるその欠点。。
今、出来ることは。音のバランスはどうか。あそこをああしたら。。と、 余計な事を考えていても、心配ご無用。しっかり4530サウンドは、耳に焼き付けてきた。JBL130系のウーファーを使ってみたいと思っている人が、 もしこの文章を読んでいたら、、まずはどこかで、 この4530バックロードに入れた音を一度は聴いておいた方がよろしいかと思う。 もし、この音にピンッ!とくるものを感じなければ、 最初から違う道を進んだ方がよろしいかとも思う。
そのお宅を出てからの帰り道、 「130系ウーファのいいところを見事に聴かせて頂けたなぁ〜」と、 ずっと考えさせられていたのだから。。
もちろん、そうは言っても、最後はその人のセンスと努力が問題になるのではありましょうが。。それにしても、ぽんっ!と置いただけだなんて。。(笑)
これは、鵜呑みにしてはいけません。
なぜなら、完全モノラル仕様で、ネットワーク2ペア使用のバイアンプドライブという、 マニアでも正確に捉えるのが困難な接続方法をしているのですから。(^_^;)