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疑似体験 2000.6.25



「理想バスレフでいうところの、振動板面積と同じという、、巨大なバスレフダクトのサイズ。。 これも本当に、許容範囲なのかもしれないなぁ。。」
4530バックロードホーンの大きな開口部を なにげに眺めていた時、ふと、そう思った。
この「ダクト開口面積=振動板面積」は、実はβ=1の意味を取り違えたのではないか?と 薄々思っている。とすれば、 ダクト開口面積を振動板面積と同じ大きさにする意味はない、などとも思っているのだが。。
ま、どちらにしても「条件が揃えば」の話しではある。

普通、そこまで開口面積を大きくするのは無理な話。 ユニットの口径に見合った限度と箱の容量に見合った限度があるはずで、 振動板面積の何%かという事は、この2点を合わせて意味を持つ。 ところが、箱の容量とダクト開口面積の間には、これといった公式はない。あえていうなら、 小さな箱に、大きな穴は開けられないという、分かりきったことだけである。

ぼくの自作スピーカーの現在のダクトの開口面積は、振動板面積の約30%である。これは、市販の スピーカーに比べれば大きめであるが、2220にしてみれば、これ以下の開口面積では、 計算上でも、実際に聞いてみても、チューニング範囲外になるという最低のサイズである。
この時のダクト長の調整可能範囲は、わずかに25mm。。

ダクトが大口径ならば、さらに豊かな低音再生が期待できるのだろうか?
今よりも少し大きな開口面積にすれば、すくなくともダクト長の調整範囲は広がるし。。
心の底では、いつもそういうことを考えていた。が、その大きさの適度な加減が、も一つ分からない。

この間、、 4550の容量とダクトサイズの関係とそのチューニングのポイントを検証してみて、 それらと自分の作った箱のデータを見比べているうち、このあたりまでならダクトを 大きく出来るのではないかというアタリがついた。
そのポイントとは、ダクトのサイズで、15パイ×4個。
これは振動板面積の43%であり、4550の58%に比べてまだまだ小さめだが、、 それぞれの容量差からみた比率も、その時の共鳴周波数も、申し合わせたみたいに、ピッタリ。
「うまくいきそうな気がする!」
そうなるともう、、いてもたってもいられない。
しかし、、現状のダクト設定にも、さして不満があるわけではないので、 いきなり穴を広げるのはリスクが多すぎる。。

都合のいいことに、余っていた板があった(^-^)。で、とりあえず半分だけ新たにバッフルを 作り取り替えてみることにした。それでうまくいきそうならば板を買い足して作ってみる。 そこで手放しで良いという判断をしたら、穴を開け直す。。完璧な計画だ(^-^;)
ということで、15パイ×2と12.5パイ×2で、振動板面積の約36%となる。
たった6%の差ではあるが、差は、すでにそこで出た。

超低域は良さそうな感じもするのだが、なぜかベースラインがすっきりしている。。 そのせいか気持ち“ノリ”に溜めが無くなった様で、気に入らない。 周波数特性を計測してみると、今までよりも80Hz〜160Hzの音圧が少し落ちている。 このことを、最初は少し意外に感じたのだが、、よく考えるとそういうことも有り得るか。。

当初密閉箱で聴いていた時には、このあたりが若干詰まる感じであったのだが、 その前の小さな箱では、もっとひどく詰まった感じであった。 バスレフにしてその詰まり感は取れたわけなので、、 つまり、、もっと抜けば、さらにすっきりしてしまうのは、道理といえば、道理である。
この原因は、開口面積が増えた分、共鳴周波数が上がったからかもと思い、 元々の設定の共鳴周波数と合わせる為に、ダクト長を延ばしてみる。しかし、、 板厚だけの時とその印象は変わらない。。理論上は一緒でも、やはり音は違う。

バスレフの場合、ダクトのチューニング部分は、内部に放出された逆相の位相の音が ダクトを通ることによって反転して出てきて正相となり、前面から出た音と増強しあう。 そして、その開後部が持つ共振周波数以下で、逆相のまま出てきて低域が打ち消されるだけだと、 単純にそう思っていた。
が、しかし、、このすっきりした感じは、低音の高い部分で、 打ち消しが起こっている様な気もする。。
ところが、そういう観点でダクト開口サイズについて 述べている記述は思い浮かばないし、あまり理論的ではない。
としても、、 ダクト開口サイズを小さくすれば密閉に、大きくすれば後面解放に近づくわけなので、 大きなダクトが後面解放に近づいているとすれば、この場合、 大きくなったダクトから回りこんで、逆相のまま出てくることはないのか。。
もし回り込むとしたら、共鳴周波数よりも高い周波数での打ち消しも有り得る?
あれば一体何Hzか。。

バスレフでは普通、ダクトから漏れて問題にされるのは中音域が多いのだが、これは多くの場合、 フルレンジを箱に入れた場合により問題になるのであって、ぼくの様に、 マルチアンプ3ウェイのウーファー部だけならば、元々 500Hz以下の低音しか入れていないので 、あまり気にならない。これは箱の中に頭を突っ込んでも、 気持ちの良い低音が聞ける事からしても明らかで、ついでながら、これは、 ぼくの箱に吸音材が少ない理由の一つでもある。

こんな取り止めもない事を考えている間、ずっと何かが気になっていたのだが、、
このすっきり感は、500リットルシングルウーファーにしたときと似ているのだと気がついた。
そこで、全く違ったイメージが頭をよぎる。。
そういえば、ベイシーのマスターがこんな様なことを書いていた。。
『自分がウーファーのコーン紙になった“気分”で空気の硬さを読む。』と。
確かに、、実感としては、ユニットにかかる背圧の具合の様な気もする。

バスレフにして良くなったと思ったのは、ダクトのチューニングが、キマッタというよりも、 ダクト穴からの背圧の抜けのおかげで、ユニットにかかる背圧の具合が良くなったという感じ。 これ、、同じことの様に思えるかも知れないが、捉える方向で全く違う意味なのだ。
バスレフのチューニングは、やり方によって様々なチューニングポイントが存在する。
スピーカーの設計としては、どこまで低域を延ばすか、 あるいはチューニングポイントをどの点にするかということは、ユニットの特性を考慮しているようで あっても大抵の場合、設計者側の思惑で「事」が動いているが、ユニットにしてみれば、 背圧が気持ち良くかかるかどうかだけの問題かもしれない。
とすれば、バスレフであろうと、 密閉であろうと、はたまた、ホーンロードであろうと、ユニット自体が気持ち良く動けるか、 音が出せるかどうかというその一点の問題になる。
背圧(空気圧)が良くなるポイントとして捉えれば、バスレフとはいえ、 背圧が強い方から弱い方に向かって行く途中の一点しかない。
こういう簡単な捉え方で考えるとすると、、たまたま今の箱容量でバスレフにして良くなった この背圧の最適なポイントと同様なポイントが、密閉箱にもある、、となる。
う〜む。。
またまた、余計な考えが頭をもたげてきた。
やれやれだ。。(ー_ー、)




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