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CB350FOUR 1999.12.1



18の時に中型二輪免許を取得して初めて乗ったバイクが、CB350Fだった。 思い出深いバイクである。 店に引き取りに行った時、緊張のあまり、 50ccの様なつもりでアクセルを開けてしまい、フル加速で発進して冷や汗をかいた事。 嬉々として車庫に入れ、しばらくすると、「ガソリン臭い?」見ると、 キャブレターからガソリンがオーバーフロー していて、「とんでもない物を買ってしまったなぁ。。」と胃の辺りが涼しい思いをしていると、 それを見た親父、「そんな古い物を買うからだ。」と首吊りの足を引っ張る様な事を おっしゃる。。 それが始まりで、古い故のトラブルに、度々襲われ、大変な目にもあったが、 振り返ってみれば、基本メンテナンスはこのバイクのおかげで、自然と身についたことになり、 世の中、何が幸いか分からない。。。

このバイク、今となっては、結構 名車の様にいわれて、 こちらが面喰らってしまう世の中になってしまったが、当時これは、 車体価格が安い部類の不人気車種の一台だった。もちろん中古車市場の話である。 そんなころの現役車種は、ホンダは2気筒のホークU、ホークV、スズキも2気筒のGS400、 ヤマハは2サイクル2気筒のRD400で、400ccクラスの4気筒のエンジンはカワサキのZ400FXしかなく、CBX400F、GSX400Fなどの DOHC4気筒が続々と出始めるのは、しばらく後のことである。驚いたことに、SOHCとはいえホンダは、CB350F、CB400Fの2台の4気筒エンジン搭載車を その時代よりずっと前に生産していて、さらに、とっくの昔に、 生産中止にしていたのだ。 そんな2台に目を付けるのは、ぼくとしては当然の成り行きだ。

その当時でさえ、CB350Fは、”生きた化石”とまるでシーラカンスの様に言われ、 ちょっと肩身の狭い思いがした覚えがある。 これに乗るには、やはりそれなりの理由を持っていた。

本当に好きなデザインのバイクは、純正集合マフラーがとても美しいラインを持つCB400Fだったのだが、 350Fが18万〜20万、400Fが22万〜25万という値段の問題が一つ。(これも今となっては、 夢のように安い価格だった。)もう一つは350Fは一気筒に一つづつマフラーが付いている4本マフラー だったということが、値段も合わせて考えた末に350Fを選択した理由だった。

4本マフラーに憧れた理由は、生まれて初めて乗ったバイクがカワサキZ2(ゼッツー) だったからだ。乗ったといっても、もちろんリアシートのことだが。。。 それは、中学生だったぼくには鮮烈な経験だった。しっかり捕まっていても、 吹き飛ばされそうになる強烈な加速、地上1メートルの空中を維持したまま空を飛んでいる様な錯覚。 顔に当たる風で息が出来ない息苦しさと、その猛々しい排気音。
「美しい集合もいいが、4本マフラーも捨てがたい。。」

今なら、その程度の値段の差なら、価格差を考えず、400Fを選ぶのだろう。
と言っても、そのことで、ぼくは後悔してはいない。いや、本当に。。ホントですよ。
それでも、「もしあのとき、400Fを選んでいたのなら。。」と今でも時々考える。
そうしたら、きっとずっと400Fを手放さずに、オリジナルのまま、持ち続けていたことだろう。 とすると、次のバイク、「生涯バイクはこの車種一台でいい。。 買い換えるときはまた同じこのバイクを。」と思わせてくれたバイクに乗ることが出来なかったはずなのだ。 あのときCB350Fを選んだのは、正しい選択だった。
今でも、心底そう思う。




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