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L型エンジンへの憧憬 1999.8.22



現在、乗っている車はRD28エンジンを搭載した日産グロリアである。RD28?大抵の人は知らないだろうが、ディーゼルエンジンなのである。「なぜ今時、ディーゼルなんか・・・。」と人からよく言われるが、実は今時ではない。もう、3台目のRD28エンジン搭載車である。ぼくはディーゼルを選んでいるわけではなく、このエンジンを積んでいる車を、選んでいるのだ。「???」。

RD28型はかつてのLD28型を改良したエンジンで、そのガソリン仕様のエンジンはL28型と言われる今でもファンの多い?有名なエンジンだ。そう、本当はそのL型に憧れているのである。

1969年頃から造り始められたL型はL20、L24、L26、L28と排気量バリエーションを増やしながら、長い間、日産の主力エンジンとして、スカイライン、フェアレディZなどに乗せられていたが、VG型というV型6気筒エンジンが登場した1983年頃から、徐々に主役の座を譲っていった。それから、もうずいぶんになる。しかし、そのディーゼル仕様のエンジンだけは、細々と造られ続けた。OHC、2バルブ、直列6気筒、総排気量2825cc、シリンダー内径×行程=85.0×83.0、圧縮比22.4!、最高出力100ps/4800rpm、最大トルク18.2kgm/2400rpm。と、1999年も半ばを過ぎた今では、一瞥もされないようなスペックだ。ガソリン仕様のL型はと言えば、現在では見られなくなったターンフロー型という、吸気と排気が同じ方向にある低効率のレイアウトを持ち、当時、最大排気量を誇るガソリン仕様のL28型でも、グロスで155馬力しかない。まぁ、これなら、ディーゼルでも大差無いか。。。

「はっきり言って、パワーがないし、回らない、回転も全然速く上がらないエンジンだ。」それに乗ったことのある人がよく言うセリフだ。「でも、トルクと共にこうググッとのびていく感じで・・・そう。また、回転の引きがいいんだ。アクセルをあおるとグオーーン!じゃなくてドォウ!って感じ・・・。」と必ず話は続く。

1970年頃、このL型は、セドリックにも搭載されたエンジンであった。そのため、高級車に必要な静粛性を得るために、エンジンブロックに十二分の厚みが持たされた。それが、当時にしては(今にしても)非常に強靭なエンジンとなった理由だ。当時のチューナー達は、そのタフさに目を付け、様々に手を入れるチューニングベースとして非常に人気の高いエンジンであった。その頃、L型のチューニングといえば、「ソレックス・タコ足・デュアル」というのが定番で、ぼくの憧れているのはライトチューンされたそのあたりだ。決して速くはないが、粘るように上がって行く、そのエンジンフィール。デュアルとはマフラーのこと。6気筒のうち3気筒づつで一度集合されたマフラーが出口付近まで、それぞれ独立しているもので、形状も美しい。そこから奏でられるサウンドは胸を熱くさせる。

「高圧縮のディーゼル用クランクは、チューニングにも利用されるものだし、同じL型のエンジンブロックを使用しているわけだし。」という理由で、L型の末裔と信じて、ディーゼルのRD28をぼくは選んだわけだ。同じ理由でこのディーゼル車を選んだ人をぼくは自分の他には知らない。

しかし、こんな屁理屈をはっきり言えるようになったのは、最近のことで、初めて乗った時から、徐々に、このエンジンの持つ妙な魅力に取り憑かれていったのかもしれない。闇雲に「壊れない。」と信じさせるそのタフな感触。事実、1週間以上、エンジンを全く止めずに乗り続けたことがあるのだが、何の不安も感じさせなかった。
ハーフスロットルで走り続けている時の、路面を捕えている感じ、その粘る様な回転の上がり方。そして、軽くアクセルを煽ると、確かに「ドォウ」という感じがある。しかし、速く走ろうとしても、1500キロを超える車重に100馬力だ。本来、1000ccの車に確実に劣る。ここまでは、主観の問題が大きく左右するので「そんな、大層な。」くらいに聞いておいてほしい。でも、たった1つ、どの車にも負けないことがある。満タンにしてから、走り続けられるその航続距離だ。昨年、名古屋から東北の一の関まで中央道経由で900キロ近い行程を途中「無給油」で走りきった。計算してみると、14.98km/l、と限りなく15km/lに近い。(途中から100〜105km/hでじっくりと走った結果でもあるのだが・・)この車の燃料タンクは80リットル。ということは、1000km無給油は楽に可能。ディーゼルであるこのエンジンを気に入る大部分の人は、この理由が主なのだろう。




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