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☆襖は家に寄り添う 1999.7.24



 昔は襖が仕立てられれば、一人前の表具師だと言ったそうです。

今では、襖を作っても、屏風 掛軸等はやらないところのが普通ですので、ほとんど死語です。しかし、昔に立ち返って考えてみれば、冒頭の言葉はその通りでもあります。

今では襖というと一枚の紙で貼るものと思われていますが、かつては今の様に襖一枚分の大きな紙が無く、3〜5枚(やり方によっては10枚〜12枚位までさまざま)を継いで貼るものでした。継ぎの技術は掛軸だけに使うような感じですが、襖でも普通に行うことでした。屏風などに見られる縁を回す方法なども、襖に使いますし、書、絵を裏打ちして張り込む方法も襖に使用します。和額、屏風などの下貼りはもともと、贅を尽くした襖と共通のやり方です。つまり襖は他の作業で行うことはすべて取り入れられます。襖を主にして考えれば、皆、襖のために練習している様でもあります。さらに、襖でしかしない作業、立て合わせ、切り込みがあります。これが襖にしか無い醍醐味です。建具屋さんが行う他の建具とは構造が異なるゆえに、立て合わせの仕方もやはり、異なる部分があります。襖を家に寄り添わせて、仕立て上げたその満足感は、私にとっても他の手業以上のものを感じさせてくれるのです。





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