ScとSoの比γeと、mdとmoの比であるβe、これに着目して、 ユニットのQoが0.5の時に γe=1/2、βe=1 これを低域を最大限拡大することのできる最適値とする、 NHK理論(有名らしい)があります。 これをよく見るとなんとなく理想バスレフに似ています。理想バスレフの考え方はここから 来ているような気もします。上記の比は、ダクトの共振周波数が高すぎて 極端なピークを作ったり、低すぎて効果が薄くなったりしない最適と言われる比ですが、 Sc(箱の中の空気のスティフネス)とSo(ユニット自体の等価スティフネス)の比が1/2というのは 理想バスレフ箱の容量となり、巨大な物になってしまいますし、Qo=0.5というユニットは 現実にはあまり数が多くありません。取り間違うと、Qo=0.5以外の物では 理想的な物は出来ないなどと思い込みそうです。 最近主流のユニットのには、Qo=0.3前後の物が 多いわけですので、これくらいのユニットを使用した場合はどうすればいいのか。 γe、、これが1/2に限らず1ないし2位の数字でも、何らかの最適値はないだろうか。 ScとSoの比:γe、mdとmoの比:βe、それぞれの値がγe=1/2、βe=1とか言われても ピンッとくる人は、希だと思います。よく知っている人は、ぼくなどよりよく知っている人が いるのだと思いますが、これについては、現在、市販されている書籍では、なかなか目に出来ない 設計のプロセスです。しかし、バスレフの設計の始まりは、ここから来ている様で、 それを簡素化したものが、前項の計算式だろうと思います。 (その様に書いてある資料を持っていませんので、推測ですが。。) 特定のQoを持つユニット、それのScとSoの比と、mdとmoの比。 これらの比に焦点を当て、それぞれに該当する箱に入れ、その周波数特性のデータを取る。 その様な事を繰り返し、得られた周波数特性を見てみると、共通の特性が見受けられる。 それをデータとして取っておけば、Qoの近しい物なら周波数特性のラインが、 想像できるという考えなのでしょう。 これは、もちろん、それぞれのユニットのfoの値により、周波数特性のラインは、foの値が 低いものは、低い方へ、高い物は高い方へシフトします。 また、箱の内容積によって決まるfocの値にも気を付けなければ、いけません。 箱があまりに小さい場合はfocが高くなりますので、小さなポートにして、ポートの共振周波数を 低いところに持ってきても、その間が凹んだ特性になってしまいます。この内容積の箱には、 これくらいのサイズのポートにすれば、癖のない周波数特性を得ることができる という目安が付くというわけです。小さい箱ならば、小さいなりに、上がったfoc に合せて、ポートの共振周波数を高目のところに持っていき、 そのfocに合せたポートの共振周波数にすれば、特性が平坦化できるが、 focから離れたむやみに低い共振周波数にチューニングしてしまうと、 たとえ大きい箱に入れた場合でも、周波数特性に山谷が出来てしまいます。 それらの中で、一番低域を拡大しつつ、周波数特性を 平坦化出来たものが、先の値だったのでしょう。しかし、たとえ、理想的な箱のサイズより小さく しても、その容量に合った最適値を見出すことにも使用できるわけです。本来 そういう目的で、使用すべきものだったのでしょう。その全データが載っている資料が あれば欲しいところですが、今のところ残念ながら見つかりません。 といっても、ある程度ならば、これから行なうやり方で最適値を見出せます。 これも、使い方次第ですが、、前項の単に箱のサイズを決める計算よりは、 納得出来る数値が導けると思います。 So:振動系(ユニット自体)の等価スティフネス So=4π2fo2mo、又は (2π×fo)2×mo Sc:箱の中の空気のスティフネス Sc=14000a4/Vc ここで、aはユニットの振動板有効半径、 Vcは、総内容積からユニットの一部、補強材を引いたもの=実効内容積(リットル) mo:振動系(ユニット自体)の等価質量 md:ダクト内の空気の等価質量 Sc/So=γe md/mo=βe md(g)を求める式は、 md=(poπa2l(Sd/Sp)) +(8/3×poa3(Sd/Sp)) +(0.6poπa3(Sd/Sp)) dl:ダクトの長さ(cm) a:ユニットの有効実行半径(cm) Sd:ユニットの振動板面積(cm2) Sp:ダクト(ポート)の断面積(cm2) βeに関する事 NHK理論で出てきた mo:振動系(ユニット自体)の等価質量とmd:ダクト内の空気の等価質量の比である md/mo=βe=1、つまり、 振動系の等価質量とダクト内の空気の等価質量が同じというのは、感覚的にも良さそうな気がします。 実際に振幅する振動板の等価質量よりもダクト内の空気の等価質量の方が異常に多ければ、駆動し難そう ですし、これより小さければ、駆動力が勝ってピークを作りそうです。 実際、Qo=0.289のユニットで、γe=1あるいは、2とした データをみると、βe=1/2(=0.5)では明らかにポート出力が 勝って大きなピークを作っています。βe=1では多少のピークが残り、 またβe=2のところでは、スピーカーの出力から自然にポート出力に 繋がっています。 よって、Qo=0.289(0.3前後)の場合のβeは1から2の間が適当です。 とりあえず、l:ダクトの長さ(cm)か、r:円筒ダクトの半径(cm)を変化させれば、 この数値にβeを変化させられます。 下の計算式では、 ダクトの面積が振動板面積に対し何%であるか解る様になっていますので βeが決まったら、適度な%(38cmクラスでは20〜30%位か。。)にしてから、 l:ダクトの長さ(cm)の数値を入れ替えて、決めたβe値に持っていって下さい。 md/mo=βe=1(振動系の等価質量とダクト内の空気の等価質量が同じ) この意味を、 理想バスレフで出てきた振動板面積とポート開口面積が1であるという意味と勘違いしそうですが、 そうでは、ありません。 また、このダクトの等価質量は、 ダクトの体積による空気の粘性から求められますので、 βeが同じ数値である場合でも、 ポート開口面積が小さければ、ダクトの奥行きを短くし、 ポート開口面積が大きければ、ダクトの奥行きを長くすれば同じになる、 という様な、(一見矛盾しているように聞こえる) ポート開口面積とダクトの奥行きの関係で成り立っています。 この様に同じ等価質量であっても、いくつものダクトのサイズが考えられますので、 開口面積によって、 何らかの違いは出てきそうですが(聴感では、確実に違います)、 ここではポート開口面積の大きさについては、明確な定義はありません。 ダクト内の空気の等価質量を基準に考える(=βeの値を決定する)この方法から、 バスレフの設計が生まれたとすれば、 ダクト穴を開けておいて、ダクト長だけを変化させ共振周波数を調整するという、 一般に良く行われるやり方は、βeの値を変えてしまっているわけですので、 理論的にはおかしな事をしているともいえますが、、βeの値自体が、 「やってみなけりゃ分からない」世界ですので、そこのところを知って行なえば、 実はダイナミックに特性を動かせるわけですので、調整途中として、適切なβeの値を 探っているとすれば、一概に、悪いとは言えないともいえます。 これらの計算や実験によって、βeの値自体が決まっても、先に述べた様に、 ポート開口面積とダクトの奥行きに関しては、まだまだ、やるべきことが、残されています。 γeに関する事 Scは内容積に反比例し、ユニットの振動板面積に比例する。 ユニットが同じである場合、内容積を大きくするほど、Scの力は弱くなる。 同じ箱なら、大きなユニットを使うほど、Scの力は強くなる。 ですから、 Scを決める大きなポイントは、内容積であることが、わかります。 よって、γeを変化させるには、内容積を変化させればよいと、いうことがわかります。つまり、 内容積を大きくすると、γeは小さく、 内容積を小さくすると、γeは大きくなっていきます。 しかし、エンクロージャーに入れると、fo、Qoも共に高くなりますので 内容積を、小さくしすぎるのも考え物です。 繰り返しになりますが、その理由は、 ユニット自体のSo(等価スティフネス)に エンクロージャーの中の空気によるScがプラスされて、バネの力が強くなるからです。 fo =0.16普iSo/mo)に、上記 Scが付加されることにより、 foc=0.16普i(So+Sc)/mo)で表されます。 ここでわかることは、 Scの力が強くなると、focは上昇する。 Scの力が弱くなると、focはfoに近づく。 密閉箱に入れる限り、ユニットの持つfoよりも、focを低くすることはできない。 計算上、変化させられるパラメーターは 実効内容積Vcリットル ダクトの長さlcm 円筒ダクトの半径rcm の三つです。上記の性質を踏まえた上で、数値を動かしてみてください。 振動板の有効半径aの入力 :cm ユニットの最低共振周波数foの入力: 振動系の実効質量moの入力 :g 共振峰の定数Qoの入力: 実効内容積Vcの入力 :リットル ダクトの長さdl(cm)の入力:cm 円筒ダクトの半径dr(cm)の入力:cm ボタンを押すと計算結果がでます: 計算結果は次の通りです。 上記パラメーターのユニットをリットルの密閉箱に入れた時、 Scは、 Soはとなり、 この箱の密閉時の focはHz、 Qocはに上昇します。 γeはになります。 (ユニットのQo=0.5前後の時にγe=0.5が理想。ユニットのQo=0.3前後の時は、γe=0.5では、 低域がダラ下がりとなり、バスレフ出力では平坦な特性には理論上持って行けない。 この場合、γe=1〜2までの範囲にすると平坦な特性が期待できる。 この値を変化させるには、内容積の値を入れ替える) ユニットの振動板面積Sdは、cm2、 ポート面積Spは、cm2、 このポート面積は、振動板面積の%です。 mdは、これより βeはになります。 (ユニットのQo=0.5前後の時にγe=0.5でβe=1が理想。ユニットのQo=0.3前後の時は、 βe=1〜2までの範囲にすると平坦な特性が期待できる。この値を変化させるには、 ダクトの長さと、ダクトの半径を入れ替える) また、このダクトの共振周波数fodは、 Hzです。 これは、focの%です。
ScとSoの比γeと、mdとmoの比であるβe、これに着目して、 ユニットのQoが0.5の時に γe=1/2、βe=1 これを低域を最大限拡大することのできる最適値とする、 NHK理論(有名らしい)があります。
これをよく見るとなんとなく理想バスレフに似ています。理想バスレフの考え方はここから 来ているような気もします。上記の比は、ダクトの共振周波数が高すぎて 極端なピークを作ったり、低すぎて効果が薄くなったりしない最適と言われる比ですが、 Sc(箱の中の空気のスティフネス)とSo(ユニット自体の等価スティフネス)の比が1/2というのは 理想バスレフ箱の容量となり、巨大な物になってしまいますし、Qo=0.5というユニットは 現実にはあまり数が多くありません。取り間違うと、Qo=0.5以外の物では 理想的な物は出来ないなどと思い込みそうです。 最近主流のユニットのには、Qo=0.3前後の物が 多いわけですので、これくらいのユニットを使用した場合はどうすればいいのか。 γe、、これが1/2に限らず1ないし2位の数字でも、何らかの最適値はないだろうか。
ScとSoの比:γe、mdとmoの比:βe、それぞれの値がγe=1/2、βe=1とか言われても ピンッとくる人は、希だと思います。よく知っている人は、ぼくなどよりよく知っている人が いるのだと思いますが、これについては、現在、市販されている書籍では、なかなか目に出来ない 設計のプロセスです。しかし、バスレフの設計の始まりは、ここから来ている様で、 それを簡素化したものが、前項の計算式だろうと思います。 (その様に書いてある資料を持っていませんので、推測ですが。。)
特定のQoを持つユニット、それのScとSoの比と、mdとmoの比。 これらの比に焦点を当て、それぞれに該当する箱に入れ、その周波数特性のデータを取る。 その様な事を繰り返し、得られた周波数特性を見てみると、共通の特性が見受けられる。 それをデータとして取っておけば、Qoの近しい物なら周波数特性のラインが、 想像できるという考えなのでしょう。
これは、もちろん、それぞれのユニットのfoの値により、周波数特性のラインは、foの値が 低いものは、低い方へ、高い物は高い方へシフトします。 また、箱の内容積によって決まるfocの値にも気を付けなければ、いけません。 箱があまりに小さい場合はfocが高くなりますので、小さなポートにして、ポートの共振周波数を 低いところに持ってきても、その間が凹んだ特性になってしまいます。この内容積の箱には、 これくらいのサイズのポートにすれば、癖のない周波数特性を得ることができる という目安が付くというわけです。小さい箱ならば、小さいなりに、上がったfoc に合せて、ポートの共振周波数を高目のところに持っていき、 そのfocに合せたポートの共振周波数にすれば、特性が平坦化できるが、 focから離れたむやみに低い共振周波数にチューニングしてしまうと、 たとえ大きい箱に入れた場合でも、周波数特性に山谷が出来てしまいます。
それらの中で、一番低域を拡大しつつ、周波数特性を 平坦化出来たものが、先の値だったのでしょう。しかし、たとえ、理想的な箱のサイズより小さく しても、その容量に合った最適値を見出すことにも使用できるわけです。本来 そういう目的で、使用すべきものだったのでしょう。その全データが載っている資料が あれば欲しいところですが、今のところ残念ながら見つかりません。 といっても、ある程度ならば、これから行なうやり方で最適値を見出せます。 これも、使い方次第ですが、、前項の単に箱のサイズを決める計算よりは、 納得出来る数値が導けると思います。
md/mo=βe=1(振動系の等価質量とダクト内の空気の等価質量が同じ) この意味を、 理想バスレフで出てきた振動板面積とポート開口面積が1であるという意味と勘違いしそうですが、 そうでは、ありません。 また、このダクトの等価質量は、 ダクトの体積による空気の粘性から求められますので、 βeが同じ数値である場合でも、 ポート開口面積が小さければ、ダクトの奥行きを短くし、 ポート開口面積が大きければ、ダクトの奥行きを長くすれば同じになる、 という様な、(一見矛盾しているように聞こえる) ポート開口面積とダクトの奥行きの関係で成り立っています。 この様に同じ等価質量であっても、いくつものダクトのサイズが考えられますので、 開口面積によって、 何らかの違いは出てきそうですが(聴感では、確実に違います)、 ここではポート開口面積の大きさについては、明確な定義はありません。 ダクト内の空気の等価質量を基準に考える(=βeの値を決定する)この方法から、 バスレフの設計が生まれたとすれば、 ダクト穴を開けておいて、ダクト長だけを変化させ共振周波数を調整するという、 一般に良く行われるやり方は、βeの値を変えてしまっているわけですので、 理論的にはおかしな事をしているともいえますが、、βeの値自体が、 「やってみなけりゃ分からない」世界ですので、そこのところを知って行なえば、 実はダイナミックに特性を動かせるわけですので、調整途中として、適切なβeの値を 探っているとすれば、一概に、悪いとは言えないともいえます。 これらの計算や実験によって、βeの値自体が決まっても、先に述べた様に、 ポート開口面積とダクトの奥行きに関しては、まだまだ、やるべきことが、残されています。
γeに関する事
上記パラメーターのユニットをリットルの密閉箱に入れた時、 Scは、 Soはとなり、 この箱の密閉時の focはHz、 Qocはに上昇します。 γeはになります。 (ユニットのQo=0.5前後の時にγe=0.5が理想。ユニットのQo=0.3前後の時は、γe=0.5では、 低域がダラ下がりとなり、バスレフ出力では平坦な特性には理論上持って行けない。 この場合、γe=1〜2までの範囲にすると平坦な特性が期待できる。 この値を変化させるには、内容積の値を入れ替える) ユニットの振動板面積Sdは、cm2、 ポート面積Spは、cm2、 このポート面積は、振動板面積の%です。 mdは、これより βeはになります。 (ユニットのQo=0.5前後の時にγe=0.5でβe=1が理想。ユニットのQo=0.3前後の時は、 βe=1〜2までの範囲にすると平坦な特性が期待できる。この値を変化させるには、 ダクトの長さと、ダクトの半径を入れ替える) また、このダクトの共振周波数fodは、 Hzです。 これは、focの%です。